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学園物語3
 

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学園物語3 〜そして伝説へ!?〜
(C)1997 PONAPALT-Factory

 エルフ。
 この奇怪な種族の性質のファンタジー的解釈については、ご存じのとおりである。それを一言で表すなら……
 死ぬほど長生き。
 …減塩ソーセージばかり食ってるのだろうか。
 ついでに言うなら、
 ひ弱で生っ白い奴ら。
 神話の小妖精を変に少女趣味もどきに作り替えられたもの。
 いわゆる有害図書のネタに酷使されるのがオチ。
 ごくたまに森妖精とも書かれるが、万年木の皮かじってるわけでもなかろうに。
 ……というわけで、こんなのをいちいち解釈してたら、朝飯食ってるうちに夜が更けるわけだ。
 『原稿請け負って張り切っているうちにオチる』ともいう。
 とはいえ、裏を返せば華奢で優美な彼らは、特に若い女性が、アロチのクラブでナンバーワンとなって……もとい、人間にこよなく愛される存在となっている。
 しかし。
 物事には例外がつきものである。
 華奢で優美なのだから、おとなしく、平和をこよなく愛する存在が『大半である』。
 大半なのだから、あとちょっとはそうではない。
 この物語は、その『あとちょっと』が、どれだけ世間に迷惑をもたらしているかについて論述した物語である。

◆Phase 1 旧世紀マジックスクール
 
 いいかげん言い飽きた感もあるが、一応言っておく……ここは、汎世界魔法学園。
 どこぞの番組のタイトル風に味付けすると、題名のとおりである。
 ……私の記憶が確かならば、前々回、前回ともども、ある男生徒の爆睡のいびきから始まっていた。
 ある女生徒の爆発のひびきから始まっていたという説もあるが、それはそれでそうとして。
−−−−−
 「……ねえ。いつも思うんだけどさぁ。」
 またまた出ました、加藤真里(17)でごさぃまぁぁぁぁすっ。いつもよりよけーに回しておりまぁぁぁすっ。
 ……で、何を??
 「あたいたちって、死ぬほど好奇心あるよね。」
 「死ぬほど好奇心があるんじゃなくて、好奇心で死ぬほどの目に遭ってるんだろーがっ!!」
 村尾良昭、つまり良昭クンは、今回は珍しく眠ってはいない。
 というより、眠りたくても眠っていられないようなシャレになんない状況にあたいが引っ張りこんだんだから。
 「でも、今回はちょっとだけマジになっちゃうよね。」
 「マジどころか、本気出しても1/2の確率でフッ飛ばされるんだぞっ!!」
 ここは、なぜか進路指導室。
 そしてあたいと良昭クンの目の前には、ダイナマイトと時計と赤青コード。どこからどう見ても、タイムボカン……じゃなく、時限爆弾の基本セット。
 「でもね。やっぱり赤だよね、情熱の赤。」
 「ちょっと待てぇぇっ!時限爆弾に情熱燃やされると困るぞっ!!だいたいそのまま放っとけば処理班が」
 「んじゃ、やっぱり青かな。」
 「だからいちいちこんなトコ来てコード切りしなくてもいいんじゃないかとオレは言いたいんだよっ!!」
 慌ててばたばたと手を動かして、2・3発奇声を発する良昭クン。
 ……可愛いっ。
 「……それに、時限爆弾の全部が全部、片っ方がハズレで片っ方がアタリとは限らないぞっ!!両方ともアタリだったらどーすんだよっ!!」
 「両方ともハズレだったらどーすんのよっ。」
 ふっ、甘いわね、良昭クン。あたいと口論でサシで勝負すること自体間違っていたのよ。
 …屁理屈ばっかりこねて口論にならないから!?……もしかしたらそうかもしんないけどね。
 「それに、爆弾事件で危機一髪!!の学校を救うっていうのが、あたいたちの使命でしょっ。」
 「だから、爆発まであと10分51秒もあるんだぞ!?いちいちオレたちがしなくても、専門の人たちがそろそろやってきて処理してく…」
 「そんなこと言ってるから『最近の若者は無責任だ』とか『言われたことはするがそれ以上はしない』なんて言われるのよっ。」
 良昭クン、あたいの答えにしばらく凍りついて、口を開けたまんま突っ立っている。
 ちゃあぁぁぁぁぁぁんすっ!!
 「それじゃ、やっぱり青がいいね。うんうん。」
 「ちょっちょっちょっ!!」
 「じゃ、ぷちんっ、と。」
ぷちんっ、と。
ぴぴぴぴぴぴぴっ。
 「良昭クン……」
 うんっ。やっちゃったっと。
 「……何だよ。」
 「……………逃げるわよっ!!」
−−−−−
爆発するぞぉぉぉぉぉぉぉっ!!
ちゅどどどどどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ。
がらがらどごしゃあぁぁぁぁぁぁぁんっ!!
 崩壊!爆発!土煙っ!
 怒号のごとく響く爆音。児童公園でトンネル掘りに失敗した砂山のごとくざあざあと崩れる建物。
 そして……
 ……臭気。
 「どぅあぎゃあぁぁぁぁぁぁっ!?何よっ!!何なのよこのクサさはっ!!」
 「知らないのかよっ!!指導室の上隣は便所なんだぞっ!!」
 要するにあたいたちの失敗で、汲み取り式ボットン便所の底が抜けたらしい。
 「このへんが下水道の普及率全国最低だから悪いんでしょっ!!」
 「その前にブルーを切らなきゃこんなことになってなかったんだよっ!!」
 「何よっ!!あたいはブルーを切ると見せかけて実はフェイントかけて赤を切ってたのよっ!!それなのにっ!!ひっひどいっ!!」
 「その前にこのうえなくクサいこいつをどうにかしろっ!!」
 「そんな便利な魔法なんてあたい知らないわよっ!!」
 元々からそんなテレビショッピングでがんがん宣伝してるようなスプレーと同じ魔法なんかあるわけがなく……
 台臭13号は、学園の建つ山に上陸した。
 特に風下側の危険半円内にいたあたいたちは、ものの10分も経たないうちに臭気で完全爆死することになる。
 っああぁぁぁあああぁぁぁっ!!何とかしてぇぇぇぇぇっ!!

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