+-----続学園物語-----+

 


続学園物語
 

Page:8  ←前のページへ 次のページへ→P1 P2 P3 P4 P5 P6 P7 P8 P9

・第七章裏 真相…鬼と人、人と鬼

「殿っ! 正気にございまするか?」
城の地下、隠し部屋と言っても、優に百畳はあろうかという巨大な空間。そこに彼らは居た。
「正気? 愚問よ。…いや、人の心の中に存在するのは、狂気のみやも知れぬな。」
「されど! 切支丹の邪法を持って鬼神を呼ぶなどと…。」
 「我らが徳川にどれだけ虐げられておるか。…そちが一番解っておろうに。」
 「しかし、結果、我らが忠臣がどれだけ散っていったか。」 
「ふむ。なかなか、思いの通りには成らんものよ。」
 「殿!」
 「わめくな。……我が藩も滅びようが、それは、徳川も同じ事よ。」
 「そのような、そのような世迷い言で、父を殺したのですか?」
「兼主は所詮すぐに自害するような小心者よ。逃げることしか出来ぬ。」
 「父は逃げたのではございません! 殿を止められなかった責任を…」
 「では、無駄死にだな。」
 「私が居ます。」
 「何?」
 「私が鬼を滅ぼしまする。二つの鬼を…」


 「帰ってきたか。」
「はい。」
 彼は帰って来た。護るべきものを自らの手で護るため
 「逃げなかったか。」
 「はい。」
 彼は逃げない。護るべきものを自らの手で護るため。
 「鬼はどうなった?」
 「再び、闇の彼方へと消えました。」
 人の中に巣くう鬼。人と共に生まれ人と共に滅ぶ。しかし、人が居る限り永遠に消えることのない無限、夢幻の鬼。
 「そうか。」
「…そいつが、元凶だったと言うわけだな?」
 背後の闇から声がする。
 「はい。」
「この藩も終わりだな。…ヤスギと共に暮らせ。武士などつまらん生き物だ。」
 舞う血しぶき。後に残るは、ただ血にまみれた首の無い城主のみ。

Page:8  ←前のページへ 次のページへ→P1 P2 P3 P4 P5 P6 P7 P8 P9


Return : Novels Top